「競艇」は、歴史が50年以上ある公営ギャンブルです。
時代によってルールが変更されてきた歴史もあり、現在と一昔前では全く違うギャンブルだったという人も多くいます。
今回は、競艇歴が長い人だけが知っているマニアックな話を集めてみました。
予想や収支が良くなるという事はありませんが、面白い話も多いので興味が湧いた方は是非読んでみてください。
一昔前までは前付けやダンプが当たり前だった
現在の競艇では、ピットアウトからスタートまでの待機行動中に少しでも内側のコースを取りに行く「前付け」を積極的にする選手はあまり多いとは言えません。
インの鬼「西島義則選手」や深イン真二「深川真二選手」といった積極的に前付けをする選手は「イン屋」と呼ばれています。
イン屋の選手の過去の成績を見てみるとほぼ全員が3コース以内からスタートしていません。
競艇は、1周目1マークに近い内側が最も有利で外側になればなるほど不利になるといった特徴がある事から、レース勝つ・賞金を稼ぐといった目的で前付けをする事が当たり前でした。
実際に過去のレース映像を探してみると、現在の主流となっている枠なり3対3のスタートはほとんどありません。
しかし、時代の流れとともにモーターの性能が上がった事や選手全体の旋回技術が向上した事等から、前付けをしなくても勝つ方法が確立され次第と前付けをする選手が減っていきました。
また、前付けをすると必ず進入・起こし位置が深くなるので、普通にスタートするより高い技術力がいる事も前付けが減った原因と言われています。
イン屋が減った事で前付けを嫌う競艇ファンも増えましたが、前付けをする選手は少しでも着順を上げるために毎回真剣に走っている事を忘れないであげてください。
また、現在ではほぼ見る事がなくなったのが「ダンプ」です。
旋回する際に前にいる艇に自分の艇をぶつけます。その反動で相手のスピードを奪いながら自分は素早く旋回をする技術です。
一昔前の競艇では、ダンプも勝つための高等技術だと言われていましたが、現在では他の艇を巻き込んで転覆・落水する危険がある事から、現在はルールで禁止されています。
ダンプをされたら次のターンやレースで仕返しをする事も多く、その荒々しさから競艇は「水上の格闘技」とも呼ばれていました。
現在は出来るだけクリーンに勝つ事が良いとされているので、ダンプが多かった時期を「競艇」、近年のクリーンな時期を「ボートレース」と使い分けている競艇歴の長いファンも多くいます。
最低体重制限がなかった時代がある
2021年2月現在、競艇には男子52kg・女子47kgと性別によって最低体重が設けられています。
最低体重を下回った場合は、レース中に重りを付けて体重を調整しなければいけません。
競艇が始まってしばらくの期間は、最低体重が設けられていなかった事や現在より旋回技術が高くなかった事から、レースは体重が軽ければ軽い程有利でした。
レースに勝つために多くの選手が無理な減量を行うのが当たり前となっていました。
しかし、無理な減量でフラフラになった選手を見た業界運営のトップは、選手の健康面を心配して最低体重を設ける事を決めたと言われています。
最低体重を作るきっかけになったと言われているのが、競艇界のレジェンド「野中和夫元選手」です。
野中元選手は、1987年に行われた尼崎のSG「笹川賞」で見事優勝しています。しかし、当時当たり前だった無理な減量が原因でフラフラになり、優勝カップを持っただけで倒れそうになるぐらい衰弱していました。
なんとか表彰式を終えた野中選手でしたが、知り合いに方を借りながらレース場を後にしたと言われています。
そして、1989年に競艇に初めて最低体重が導入されました。
導入当初は、男子50kg・女子45kgと現在よりも少し軽い体重となっていましたが、定期的に最低体重の見直しが行われ現在の最低体重になっていきました。
昔は上下関係がかなり厳しかった
現在は、先輩後輩関係なく仲の良い選手が増えてきましたが、一昔前まではかなり上下関係が厳しかったと言われています。
大会前日の前検日には、決められた集合時間より早くレース場に到着して先輩がスムーズにモーター・ボート抽選が行えるように様々な準備をする必要がありました。
また、抽選後も先輩の手伝いをするためにピット内を走り回らなければいけません。
先輩の手伝いが全て終わるとようやく自分のモーター・プロペラ調整を行う事が出来るようになります。
ピット内でダラダラ歩いていたり、新人同士でお喋りに夢中になっていると先輩から怒られる事も珍しくなかったようです。
さらに、宿舎に帰ってからも新人は先輩のために動かなければいけません。
宿舎内にある売店への買い出しや食堂での食事の準備等、ピットよりも宿舎の方がする事が多くなっています。
実際に、新人時代はかなり体力的にも精神的にしんどかったと苦笑いで答えている選手が多くいます。
現在は昔程の厳しさはありませんが、名残としてピット内での先輩のお手伝いや宿舎での雑用が残っています。
お金がドンドン飛んでいく持ちペラ制
レースの勝敗を大きく左右すると言われているのがモーターとプロペラ(ペラ)です。現在の競艇は、前検日に抽選で受け取ったモーターに付いているプロペラを調整してレースを走っています。
しかし、昔は持ちペラ制といって自分で作ったプロペラをレース場に持ち込む事が出来ました。
持ちペラ制が採用されていた時代は、選手個人がプロペラを自分で購入する必要がありましたが、プロペラの面積を広げたり形状を自由に加工したりする事が出来ました。
選手同士でプロペラを研究するペラグループが出来たり、膨大な資金を使って高性能なプロペラを業者に発注していた選手もいました。
しかし、持ちペラ制は資金力によって差が生じてしまう事から、より多くのお金を稼げるトップクラスの選手が有利になります。
選手の技術ではなく資金力というレースとは関係がない所で選手同士に差が出る事もあり持ちペラ制は廃止されました。
持ちペラ制が廃止されると資金力によるプロペラの差がなくなり、選手の技術力とモーターの整備力が重視されるようになりました。
現在もモーター整備の一環として、プロペラを叩く事は当たり前となっていますが、昔のように特殊なペラや選手の技術力・モーターの整備力を覆すようなプロペラを使う事は出来なくなっています。
まとめ
競艇は、時代によって細かくルールが変更されています。
現在では、あまり見かけなくなった前付けや不良航法になるダンプも当たり前に使われていました。
さらに、厳しい上下関係や持ちペラ制等、レース予想にはあまり関係ないマニアックな話もまとめてみました。
レース外の選手の話を聞くと親近感が湧いて応援したくなったりと今までとは違った競艇の楽しみ方が出来るようになります。
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